社会人になってから学んできたマナーがまったく我流ではないと言い切れる人は少ないのではないでしょうか?
上級職や管理職へ昇進、昇格したとき、これまでのビジネスマナーよりもレベルの高い上級ビジネスマナーがさまざまな場面で求められるようになります。
今回は、上級職や管理職に必須のスキルといえる上級ビジネスマナーについて、実際の例も挙げながら解説していきます。
上級職・管理職こそビジネスマナーを確認しよう
上級職や管理職こそ、今一度、自身の認識しているビジネスマナーを再確認する必要があるといえるでしょう。
なぜなら、これまでの経験で学んだビジネスマナーは我流である恐れがあるためです。
また、基本のビジネスマナーが身についていても、部下を抱える立場となった以上、これまでよりもさらに振る舞いに気をつけなくてはいけません。
学び直しが求められる具体的な理由について紹介します。
部下や後輩への指導で間違ったことを教えてはいけない
まず第一に、部下や後輩に対して、間違ったビジネスマナーの指導を行わないために、再度自身のビジネスマナーを確認する必要があります。 上級職や管理職に就いた場合、部下や後輩に対して指導する機会がこれまでよりも増えます。
部署へ配属された新人に初めて指導を行う社内の人間になる可能性もあります。
基本の形となるビジネスマナーを教えるタイミングで、万が一、誤った知識を伝えてしまうと、部下や後輩の今後の社会人生活にマイナスの影響を与える可能性もあります。
上級職や管理職は正しい指導を行う責任があるといえます。 部下や後輩の育成のためにも、ビジネスマナーを学び直すことは重要です。
取引先と接する機会が増える
第二に、上級職や管理職に昇進すると、責任ある立場として、取引先とコミュニケーションを取る機会が増えます。
営業などの部署であれば、新人でも窓口となり、取引先と接する機会はもちろんありますが、商談などの重要なやり取りは上級職や管理職が帯同、もしくは主導することが多いでしょう。
取引先との大切なやり取りの際に、失礼がないように、また、会社や部署の信頼を損なわないような正しいビジネスマナーに基づいた振る舞いをすることが大切です。
新人や一般社員のときよりも、言葉遣いや態度に一層気をつけなくてはいけません。
責任者として出席する機会が増える
第三に、責任者の立場でさまざまな場面に出席する機会が増えることが、ビジネスマナーを学び直す理由として挙げられます。 責任者として出席するということは、自社や自社の社員を代表する立場だといえます。
そのほかの列席者からの信用を失わないように、正しい立ち振る舞いをしなくてはならないといえるでしょう。
また、社外のイベントや会合への出席以外にも、社内の会議など、部署を代表して出席する機会も増えるため、部署の顔としても、正しいビジネスマナーを身につけていることは重要です。
仕事中にどのようなところが見られているのか?気をつけたいポイントをチェック
具体的に、どのような振る舞いや行いにビジネスマナーが活きるのかを紹介します。
後輩や部下のより良いお手本となり、見ている人たちから信頼を損なわないためにも、気をつけるべきポイントを確認しておきましょう。
普段から意識して行動することで、自然と正しい振る舞いが身についていきます。
電話応対などの対話コミュニケーション
直接、取引先、または社内の人間と接する対話コミュニケーションは、最も見られるポイントといっても過言ではないでしょう。 社会人として相応しい言葉遣いや、敬語といった日本語の誤りがないことが重要です。
丁寧かどうかも大事なポイントではありますが、へりくだるような物言いにならないように注意が必要です。
「お帰りになられる」「お越しになられる」などの二重敬語になっていないか、謙譲語や尊敬語の誤用をしていないか、よく使う言葉について再確認しておきましょう。
また、基本的ですが、ら抜き言葉について、上の世代の方であればあまりいい印象を持たない場合が多いため、使わない方がベターです。
身だしなみ
社外へ出る機会がなく、社内のみで過ごす日であっても、身だしなみを整えておくことは大切です。
見た目の印象は、その人のイメージとして認識されることから、身だしなみの整わない人にはルーズな印象がつきまとうことになります。 清潔感を意識して、綺麗に洗った衣服を着崩さない着こなしで着用するようにしましょう。
クールビズなどでカジュアルな装いをする場合であっても、好印象を与えることができるように、軽装にしすぎず、ビジネスの現場に相応しい服を選ぶようにすることが重要です。
服装のほか、ヒゲや頭髪についても、相手に不快感を与えないよう、整えておくようにします。
そのほか、エチケットとして、ハンカチを持つ、靴は磨いておくなど、日常的に持ち物についても気を配るようにしましょう。
職場や取引先への態度
発する言葉や見た目のほか、立ち振る舞いもビジネスマンとしてのマナーを見られるポイントです。 挨拶をする際、挨拶の言葉だけでなく、お辞儀といった振る舞いも人に見られていることを意識しましょう。
また、職場内で部下や後輩に対しても、乱暴な言葉遣いをするなど、横柄な態度を取らないことが大切です。 仕事は、人と人のコミュニケーションをさまざまな場面で繋いでいくことで成り立ちます。
上級職や管理職こそ、職場の人間に対しても公平で誠実な態度で接し、お手本となるべき存在といえるでしょう。 明るく、礼儀正しい態度は、職場や取引先において、好印象を形成するために必須のマナーといえます。
実際のケースを学び、実践に備えよう
次に、上級職や管理職として、ビジネスマナーを活かす場面について、具体的に紹介します。
実際の場面を想像しながら、どのような振る舞いをすべきか、本番に備えておくことが大切です。
これまでに参加したことがない会合や式典等に参加する機会が訪れた場合は、前任者や先輩、自身よりもさらに上級の職位に就いている社内の人間に確認しておくとよいでしょう。
会合への参加
社外の取引先などとの会合や会食に参加する際、同席者に好印象を抱いてもらえるような立ち振る舞いを意識しましょう。
会食の場合、お酒を飲むこともありますが、リラックスして失言することがないように、自身のペースを把握しながら楽しむことが大切です。
自身の意見を伝えなくてはいけない状況でも、聞く相手のことを考え、押し付けにならないように、言葉遣いや話す内容について気をつける必要があります。
また、会話や対話以外にも、取引先など会合の参加者が、あなたの立ち振る舞いを見ていることを意識しましょう。例えば状況に応じてさっと手伝いに加わるなど、場の空気を読んで行動することが非常に重要だといえるでしょう。
会食などの場合は、参加後に主催者や関係者にメールなどでお礼の連絡を入れておくと、印象にも残りやすく、好印象を抱いてもらいやすいため、おすすめです。
式典への参加
取引先の会社創立記念など、自社の式典以外に参加する機会もあります。
おめでたい祝いの場面ですが、フォーマルなシーンに相応しい振る舞いをするためにも、服装やご祝儀の準備、お祝いの品の手配などを時間に余裕を持って済ませておくようにしましょう。
一般的な式典に参加する場合、暗色のスーツでの参加がおすすめです。
式典に際し、主催者など、招いてくれた方に対して、お祝いの言葉を必ず伝えますが、会話で述べるだけでなく、電報や手紙を送ってもよいでしょう。
創立記念や開業祝い、新社屋落成祝いといったおめでたい機会のお祝い品については、胡蝶蘭や祝樽などが一般的です。 社名など送り先が分かるように、のしや立て札も準備します。
また、式典に参加する前に、式典の内容についても事前に確認しておくようにしましょう。 社長交代などがある場合、就任や退任に合わせたお祝いを準備する必要があるためです。
部下を同行させた訪問
部下や後輩を同行させ、取引先などを訪問する場合、実際の場面を見せた上での指導ができるため、正しい振る舞いを行うことが何よりも大切です。
受付の前にコートや防寒着を脱いでおくことや、コートを内側に畳むこと、また、ノックを3回以上行うなど、細かい動作に気をつけて、お手本を見せましょう。
また、名刺交換や手土産の渡し方など、事前に部下や後輩に伝えて練習しておくことで、当日実践してみてもいいかもしれません。
上座や下座、訪問側が商談後は先に席を立つなど、基本的なマナーは同行させる前に知識として伝えておくようにしましょう。
まとめ
上級職や管理職になると、自身が取引先などの相手に不快な思いをさせないようにする目的だけでなく、部下や後輩指導の目的でもビジネスマナーを活かすことになります。
正しい立ち振る舞いで、好印象を与えられるように、自身の認識しているビジネスマナーが思い込みでないか、再確認することが大切です。
会合への参加など、特に振る舞いが重要な機会の前には、都度確認して準備を万全にしておきましょう。