読書はビジネス上の課題解決や生産性向上に役立つ手法です。しかし、読書の効果を実感するまでには一定の時間と出費が必要となるため「興味はあるが、労力や手間を考えると気が進まない」「過去に読書に取り組んだが挫折した」というビジネスマンも多いでしょう。
そこで今回は、ビジネスマンの読書の必要性と適切な読書の始め方を解説します。読書を挫折してしまう理由や継続のコツも解説しますので、仕事やプライベートで忙しいビジネスマンもぜひ参考にしてください。
ビジネスマンに読書が必要な4つの理由
ビジネスマンが読書に取り組むことで、ビジネスで直面している課題解決のヒントを得たり、自己成長につながるきっかけを得られたりします。読書の必要性についてみていきましょう。
業務に役立つ知識やスキルを学べる
多くのビジネス書には、ビジネスを成功に導くポイントや教訓がまとめられています。業界における著名人の成功談や失敗談がまとめられた書籍も数多く存在します。その中から、業務に関係の深い書籍を見つけて読むことで、業務に役立つ知識やスキルを学べるのです。
営業マンを例に挙げてみましょう。新入社員や初心者の方であれば、「営業の基本」「営業1年目の教科書」といった書籍を読むことで、営業に必要な知識やスキルを学べます。中堅社員の方であれば、より高度な内容が書かれたビジネス書が役立つでしょう。
成果に直結するような知識やスキルを得られなくても、書籍を読むことで仕事の質やスピードを高めるヒントをつかむ機会を得られるのです。
新たな価値観や考え方が身につく
書籍の中では筆者が自分の価値観や考え方を発信しています。読書によって新たな価値観や考え方にふれられるため、自分の世界観を広げるきっかけを得られるのです。
著名人の講演会やセミナーに参加して、価値観や考え方を知る方法も有益ですが、参加料金がネックになるかもしれません。書籍の購入費用は1冊およそ1,500円。決して安い金額とはいえませんが、講演会やセミナーに比べてリーズナブルな価格といえるでしょう。新たな価値観や考え方を身につける方法として、読書のコストパフォーマンスは高いのです。
論理的思考力を伸ばせる
論理的思考力とは、物ごとを筋道に沿って整理し矛盾のないように考える能力のこと。論理的思考力を身につけると、課題に直面した際に合理的な解決方法を見つけやすくなります。また、自分の主張や考えを正しく相手に伝えられるようになるため、ビジネスのさまざまな場面で役立つのです。
こうした思考力は、主にビジネス書によって伸ばせます。ビジネス書は、仕事のノウハウや成功のコツなどが体系立てて論理的にまとめられている書籍です。そういった本を読むことで、自分の中に論理的思考を取り入れられるのです。
仕事終わりの楽しみや一日の息抜きになる
ビジネスマンに役立つ本といえば、ビジネス書が一般的ですが、本の種類はそれだけではありません。仕事終わりに読むのが楽しみになるような本、一日の息抜きに活用できるような本も存在します。
例えば、小説やコラム、エッセイといったフィクションの本を読むことで、非日常の気分を味わうことが可能です。自分の好きな1冊を自由な時間に読めば、仕事で緊張した脳をリラックスさせられるでしょう。
ビジネスマンが読書を始めても挫折する理由
読書を始めてみたものの、途中で挫折してしまうビジネスマンは少なくありません。なぜ挫折してしまうのでしょうか。挫折の原因を詳しくみていきましょう。
忙しくて読書の時間を確保できない
仕事に追われることの多いビジネスマンにとって「読書のための時間」を確保するのはむずかしいものです。ほかに優先させたい用事や心身を休める時間を持ちたい場合もあるでしょう。こうしたケースは、適切な読書の始め方を身につけたり、すき間時間を活用したりすることが解決策になります。
読書の目的が曖昧なまま読み始めている
目的を定めずに何となく読書に取り組んでも、集中力は持続しません。まずは、読書によってどのような情報を得たいのか、読書によって達成したいことといった目的を設定しましょう。詳しい方法は後述します。
1冊ごとに完読を目指してしまう
「読み始めたら最後まで読む」「1冊の本を読み終わってから次の本を読む」と完読を目指してしまうと、読書自体に苦痛を覚えてしまうかもしれません。なぜなら、読み始めたその本が自分にあっているとは限らないからです。
本のレベルが高かったり文体が自分にあわなかったりすると、集中力が続かなくなります。また、読書の効果を実感するためには実践することも重要です。
ビジネスマンにおススメの読書の始め方【4ステップ】
ここからはビジネスマンにおススメの読書の始め方と継続のコツを解説していきます。まずは読書の始め方をみていきましょう。
ステップ1.目的を設定して読書意欲を高める
ステップ1では、読書の目的を設定して読書意欲を高める作業を行います。参考までに、読書の一般的な目的を表にまとめました。自分にあったものがないかチェックしてみてください。
| 悩みの例 | おススメの本のジャンル |
| 仕事に役立つ知識やスキルをインプットしたい 人間関係を改善したい | ビジネス書（マナー本、ノウハウ本、仕事術に関する本など） |
| 気分転換したい | 文芸（小説、エッセイ、詩、評論など） |
| 日々の暮らしや生活に役立つ情報を知りたい | 実用書（趣味、旅行、スポーツ、料理、育児など） |
目的を設定する際は、読書後の自分をイメージしてみてください。読書を通じてなりたい自分をイメージすることで、具体的な目標を見つけやすくなります。
ステップ2.おおまかに読書タイムを決める
ステップ2では読書タイムを設定します。読書タイムとは、自分が読書に集中できる時間のこと。人によって集中できる時間は異なるため、自分なりの読書タイムを決めましょう。具体例がこちらです。
- 朝の起床後
- 夜の就寝前
- 予定と予定の間に生じる「すき間時間」
- 週末の自宅
- 休日の前夜
なお、時間やルールをきっちりと決めてしまうと、読書自体が嫌になるかもしれません。「この時間帯ならゆっくり本を読めそうだな」と無理なく取り組める時間を設定しましょう。
ステップ3.自分にあった選び方で本を選ぶ
ステップ3は本選びです。自分にあった本の選び方を解説します。
自分の悩みを解決してくれそうな本を選ぶ
仕事やプライベートで悩みや課題がある場合は、それらを解決に導いてくれそうな本を選びましょう。必要性の高い本を選べば自然と読書を継続できるようになります。
もしもビジネス上の知識やスキルを学びたいときは、実用書やビジネス書が参考になるでしょう。職場の人間関係に悩みがある場合は、ノウハウ本やビジネスマナー本などがおススメです。
ベストセラーから選ぶ
「どの本を選んだらよいかわからない」という場合は、ベストセラーの中から自分にあったものを探してみましょう。大型書店にはベストセラーの本をランキング形式で販売しているコーナーがあります。書店に掲示された10位までの本を参考に、興味がひかれる本を探してみましょう。
ステップ4.実際に読み始める
最後のステップでは、入手した本を実際に読み始めます。ステップ2で設定した読書タイムを活用して読書を始めてみてください。その際は周囲の環境にも配慮しましょう。「静かな環境じゃないと読書できない」「雑音があった方が集中できる」といった自分の性格にあわせて、過ごしやすい環境を構築するのがおススメの方法です。
ビジネスマンが読書を継続するためのコツ
読書を継続するためのコツとは「すき間時間を活用すること」「学んだ知識やスキルを実践すること」です。それぞれみていきましょう。
すき間時間を活用して読書を習慣化する
すき間時間とは、予定と予定の間に生じる目的が決まっていない時間のこと。すき間時間を活用することで、読書に慣れていない方でも、無理なく読書の習慣を身につけられるようになります。すき間時間の具体例がこちらです。
- 出勤準備が完了して出発するまでの時間
- 通勤時間
- 会社の昼休み
- 仕事中の移動時間
デジタル技術が浸透している現在、上記のすき間時間にスマートフォンを操作する方も多いでしょう。しかし、スマートフォンを操作している間は読書に取り組めません。読書を継続するためにも、意識的に読書の時間を設けていきましょう。
学んだ知識やスキルを実践して効果を実感する
実践によって「新たに知った知識やスキルが役立つのか」「自分にあっているのか」を確認できます。プラスの効果を実感できれば、次からの読書がさらに楽しみになるため、無理なく読書を継続できるのです。
職場の人間関係を改善する本を読んだと仮定します。その場合、本から学んだノウハウを、実際の職場で試して効果を観察してみましょう。期待した効果を得られたり自分にとってプラスの発見があったりすれば、読書を継続したいと思えるはずです。
まとめ
ビジネスマンが読書を日常生活に取り入れると、新たな知識やスキルを獲得したり自分の世界観を広げるきっかけを得たりと、さまざまな恩恵を受けられます。だからこそ、読書は自分を成長させる有効な方法の1つといえるのです。
これまで読書に取り組む機会の少なかった方も、この機会に読書をスタートさせてみてはいかがでしょうか。また、読書を挫折した経験のある方も、ぜひ本記事で解説した読書の始め方や継続のコツを参考にしていただき、もう一度読書に取り組んでみましょう。
