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起業は9割が失敗する?失敗パターンや失敗する原因を解説します 

『起業は9割が失敗』といわれますが、中小企業庁の統計によると起業後1年間での生存率は95.3%、5年間でも81.7%となっています。 
起業リスクを抑えるためには、起業の失敗例と原因に学ぶことが重要です。 

本記事では、起業のよくある失敗パターンと原因、その対策について解説します。 

目次

起業が失敗する確率は? 

起業が失敗する確率を中小企業白書の企業生存率からみると、1年後4.7%、3年後11.9%、5年後で18.3%です。『起業は9割が失敗する』などの風評とは大きく異なります。 


ただしこのデータは信用調査会社(株)帝国データバンクに企業情報が収録されている企業のみの統計であるため、零細企業があまり含まれていない点に注意が必要です。 

引用サイト:中小企業庁「2017年版 中小企業白書」 

最近の別の統計によると、起業後10年以上での生存率は49%となります。 

引用サイト:中小企業基盤整備機構「令和4年度 創業意識調査」回答120,000件のうち起業実績がある12,330件から作成 

起業によくある失敗パターンと失敗理由5 

起業の失敗例は数多くありますが、その中でも多い失敗例と原因は次のとおりです。 

1.過大投資 

起業時の投資額が過大なケースです。借入を中心に資金調達している場合は、その後の返済が資金繰りの負担となります。また計画上の利益を達成できない時に、急激な資金不足に陥ります。 

2.甘い見通し 

売上の見通しが楽観的すぎるケース、経費の見積もりが不足しているケースです。特に売上を過大に計画していることが多く見られます。 

売上見通しが過大となる理由は、「このくらいは売れるはず」という思い込み、値引きやセールの実施を想定していない、競合店の出店を想定していない、資金不足で広告宣伝に十分な費用をかけることができない、などが多く見られます。 

3.資金不足 

起業時の運転資金が不足しており、その後の赤字を乗り越えることができないパターンです。 
また事業が拡大している時期も運転資金が必要です。資金管理が弱い企業は「黒字倒産」(損益は黒字であっても現金が不足して倒産する形態)となることもあります。 

資金繰りの管理を的確に行うとともに、起業後の追加の資金調達方法をあらかじめ検討しておくことが有効です。 

4.メンバーの離脱、人手不足 

友人・知人同士で起業した後に、経営方針や地位などを巡って対立することがあります。事業が収益化した後や安定しはじめた後に起こることが多いといわれています。 

また人手不足で従業員を確保できず、十分な売上を確保できない『人手不足倒産』も増加しています。人手不足が主な原因である倒産件数は2023年上半期(1月から6月)で375件発生しており、年間最多倒産件数を更新しています。 

参照サイト:帝国データバンク『全国企業倒産集計 2023年上半期報』別紙号外リポート 

5.経営者としての自覚不足 

起業家自身に問題があるパターンです。起業後の事業維持へのこだわりが不足している、資金繰りを管理することが苦手自分自身で決断・行動することが苦手などが原因です。 
また事業が収益化した後に経営者が慢心し、放漫経営や過大投資、浪費に至るケースもあります。 

失敗しない起業のための5つのポイント 

起業の失敗例に学ぶと、失敗しないための準備・対策のポイントが見えてきます。 

1.周囲に相談する 

起業前から周囲に相談し、入念な準備をしましょう。起業家のコミュニティへの参加だけでなく、税理士など身近な専門家への相談も有効です。

実際に起業した起業家へのアンケートにおいても、起業・経営に関する相談や講座を利用すべきであったという回答が多くなっています。 

引用サイト:中小企業庁 2017年版「小規模企業白書」

また起業家を支援する「インキュベーター」「アクセラレーター」などの支援組織があるほか、起業家へ助言を行う起業経験者である「メンター」も重要であるといわれています。 

引用サイト:内閣官房 「スタートアップに関する基礎資料集」

2.副業から始める 

本格的に起業する前に副業や週末起業から始めることで、起業リスクを洗い出し、対策をとることができます。本格的に事業を開始する前にビジネスモデルの問題点の洗い出しや顧客獲得を進めておくことで起業リスクを減らすことができます。 

3.小規模から始める 

スタートアップを目指す起業以外の場合は、初期投資額を抑制した状態から始めることがおすすめです。例えば、店舗什器などのハード資産は中古品で代替する、事務所は賃貸やシェアオフィス、インキュベーション施設を活用するなどの方法があります。 

4.大きくなることより、変化することが大事 

収益化できた事業であっても、時代や顧客ニーズの変化、競合他社の登場などにあわせた変化が必要です。起業時の強みにこだわり過ぎず、ビジネスモデルや業務フローを常に変化させることが企業の長寿命化につながります。 

5.スタートアップは独自性と資金調達がカギ 

「スタートアップ」企業の定義として、経済産業省では報告書において「新しいビジネスモデルを考えて、新たな市場を開拓し、社会に新しい価値を提供したり、社会に貢献することによって事業の価値を短期間で飛躍的に高め、株式上場や事業売却を目指す企業や組織」とされています。 

引用サイト:経済産業省中国経済産業局「地方創生に向けたスタートアップエコシステム整備促進に関する調査事業報告書」 

成長スピードが早いスタートアップ企業の資金調達は、競争力の源である「独自性」を対外的に説明するエクイティストーリーと、成長ステージにあった多様な「資金調達」が重要です。

スタートアップの成長に応じたファイナンスのポイントは次のとおりです。 

まとめ 

起業の失敗率は9割ではないものの、失敗する可能性もあります。起業の失敗は生活の悪化だけでなく、再就職時に不利となることがある、自己破産する可能性があるなどのリスクがあります。 

起業の失敗原因の多くは事前準備の不足、資金管理の失敗などが多いとみられており、これらは事前の準備で対応することができます。 

成功する起業のポイントをまとめると、次のとおりです。 

  • 周囲や専門家と相談しながら、起業プランを練り込む 
  • 生活資金とは別に、起業時と起業後に必要となる自己資金を蓄えておく 
  • 副業から始め、営業・経費の管理・資金繰りなど経営者に必要な経験を積んでおく 
  • 職場のリーダー職を経験し、メンバーや従業員との付き合い方、使い方を訓練しておく 

上記ポイントを参考に起業を成功させる確率を高めましょう。

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