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現役税理士が語る、税理士としての開業ストーリー

『人生100年時代』と言われるようになり、今まで当たり前だった『終身雇用制』は完全に崩壊し、特にこの3~4年程はコロナ禍でのリモート勤務が常態化したこともあって若年層の働き方に対する意識は大きく変わりました。
また同時に、50歳以上のシニア層の就業意識やセカンドキャリアに対する考え方も変化せざるを得なくなりました。
このような時流の中で、最近は年齢や業種を問わず将来的に独立開業を目指しているという方も多いのではないでしょうか。
今回は、私が税理士として独立開業するまでの経緯やキャリア形成に対する考え方を参考までに紹介させていただければと思います。

目次

1.事務所紹介


私は、神戸市や芦屋市などの兵庫県・阪神地域を中心に相続専門の個人向け税務サービスを事業として行っている公認会計士・税理士です。
2014(平成26)年に独立開業してちょうど今年で10年目を迎えますが、開業当初から相続に特化した税務事務所を志向しており、税務面からの生前の相続対策や遺言・遺産分割に関する助言、相続税・贈与税等に関する申告の税務代理を主な業務としています。

私は仕事を行う上で「今まで培ってきた知識や経験を活かしてお客様に喜んで感謝してもらえるサービスを提供すること!」を信念・モットーとしています。
また、「請け負った業務は私自身が責任を持ってすべて対応すること!」を事務所の経営方針に掲げていますので、現在は時間的・物理的に私が対応できる範囲でお客様からのご相談やご依頼にお応えするようにしています。

2.自身のキャリア形成から独立開業までの道のり


私が大学卒業後に働き始めてから30年以上が経ちますが、そのキャリアは当時の社会人としてはかなり稀なケースかと思いますので、現在に至るまでの職歴・経緯を簡単にご紹介します。

(1)大学新卒からのサラリーマン時代

理系出身の私は大学卒業後、新卒として大手IT企業に就職しました。
入社以来、約10年間で開発部門から営業部門、スタッフ部門など様々な部門・職種を経験して、コミュニケーション能力等の社会人としての基礎から官公庁・民間企業等の多種多様な業界動向や事業構造といったいわゆるビジネスの基本を幅広く学ばせてもらいました。

中でも最も長く従事した営業支援部門では、顧客に対してITを活用した新しい業務改善提案(今で言うところのDX提案)を行うわけですが、その際に同業他社だけでなく大手コンサルティング会社とも競業し敗退することがよくありました。
そこで自分達の提案に何が足りなかったのかを考えた時、技術的な内容では決して劣っていないものの組織・人材面や財務面といったより経営的な視点からの分析・提案が欠けていることに気付きました。

そこから自分でも何か身につけられる知識はないかと考え、数字が得意だったこともあって会計に興味を持つようになり、働きながら独学で簿記の勉強を始めました。
いざ始めてみると理解が進むに連れ面白くなって興味の巾も拡がり、日商簿記3級から始まった当初の目標は1級まで順調に進むと最後は公認会計士・二次試験に変わりました。
受験者の大半が現役大学生や受験に専念する専門学校生という中で働きながら勉強を続けることは想像以上に大変でしたが、運良く三回目の受験で合格できたことが私のキャリアの大きな転機となりました。

(2)公認会計士としての専門職時代

公認会計士として業務を行うには二次試験合格後に所定の実務経験と三次試験に合格しなければなりませんでしたので、当時勤めていた大手IT企業を退職して監査法人に転職しました。
監査法人では、会計士補として金融商品取引法や会社法(当時は証券取引法や商法)に基づく上場企業数社(主に商社や製造業)の会計監査に従事するとともに、前職の経験を活かして様々なシステム監査にも従事しました。

この監査という仕事は誰しも経験できるというものではなく、関与先が保管している様々な書類・証憑に記載されている情報から何かしら不自然な取引・事象や兆候を汲み取る感覚や能力を養うことにとても役立ったように思いますし、その経験は現在行っている相続税申告における財産債務調査にも大いに役立っています。

一方、会計監査は関与先である企業はもちろん社会的にも大変意義のある仕事ではありますが、残念ながら現場ではなかなか顧客に感謝してもらえる機会が少なかったこともあり、三次試験合格後は前職の大手IT企業に復職して公認会計士の専門知識や実務経験を活かしたコンサルティング等の事業化を長らく組織として主導させてもらいました。

(3)税理士としての独立開業

そんな中で私自身が40代前半に初めて相続を経験することになり、実家(兵庫県)と東京を何度も行き来しながら関連する行政機関や金融機関の窓口に問い合わせて必要な相続手続きをすべて自分で行いました。
その時に強く感じたのは、私は仕事上でも民法や税法の条文に触れる機会があったのでそれほど抵抗なく制度や手続きを理解して行うことができましたが、そうではない「一般の人が限られた時間の中でこれらの手続きを自分で行うのは難しいだろう」ということでした。
そして、落ち着いた頃には「自分の知識や経験を活かして相続で困っている人をサポートできないだろうか」と考えるようになりました。

奇しくも相続税法の改正によって、2015(平成27)年から相続税の基礎控除額が40%減額されて課税対象者が大幅に増えることが予想され始めた時期でもありましたので、「税理士として独立開業するならこのタイミングをおいて他にない!」と考え、2014(平成26)年に実家に戻って今の事務所を開業しました。
開業後は代理店契約を結んだ生命保険会社が主催する税法改正セミナーで講演したり、関連する書籍を出版するうちに徐々に地域での事務所の認知も拡がって、2~3年もすると近隣のお客様から相続に関するご相談やご依頼をいただけるようになりました。

3.独立後の気づきと今後に向けて

(1)独立して改めて気づいたこと

サラリーマン時代は何かと組織や仕事の内容について不満に思うこともありましたが、実際に独立してみるとサラリーマンは経済面(例えば、賞与支給や社会保険料の半額負担)でも業務面(例えば、業務上の瑕疵担保責任や総務・経理等の業務サポート)でも会社に手厚く守られていたことがとてもよく分かりました。
独立して個人で開業すれば賞与はもちろん毎月の収入も自分の働き次第で大きく変わりますし、本業以外の間接的な事務作業も職員を雇わなければすべて自分で行わなければなりません。

その反面、サラリーマンと違って本業では自分のやりたい仕事だけを選択・注力できますし、成果に対する責任は重いものの提供したサービスに対してお客様から直接感謝していただけた時の喜びは、やはりサラリーマンでは味わえなかったもので何ものにも代え難い達成感・充足感があります。

(2)今後、独立を目指している方へのメッセージ

サラリーマンを辞めて個人で開業して事業を継続していくことは決して容易なことではありません。
自己の裁量で自由な働き方ができる一方で、すべて自己の責任で業務を完遂しなければなりませんので苦労することやプレッシャーに感じることも多いでしょう。
しかし、今は昔と違って働き方改革が進み、多くの企業で兼業や副業が認められるようになりましたので、サラリーマンとして働きながら空いた時間で自分の興味がある事を試しに始めてみる環境が整いつつあります。
いきなり独立することに不安があればまずは副業として始めてみて、ある程度事業が軌道に乗ってきた時点で独立するということも今であれば可能です。

『人生100年時代』の今だからこそ、これまで以上に「自分にできること」と「将来やりたいこと・ありたい姿」を30歳・40歳・50歳・60歳といった人生の節目で明確にイメージすることが大切です。
何か新しい事を始めるのに遅過ぎるということは決してありません。
自分のイメージした目標を達成・実現するための手段として独立開業することが必要なのであれば、強い信念と勇気をもって前に踏み出されてみれば良いのではないでしょうか。

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